同じ距離でも、パーパットは入るのになぜかバーディパットは外れるという経験はありませんか?
この現象は実際に科学的に起こりうることです。
損失回避の理論を知ることで、バーディパットが入らない現象が理解でき、カップインの確率を上げることができます。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
同じ距離であれば、同じように打つことで入る確率は一緒になるはずです。
再現性という言葉通りであれば、確率に大きな変化が起きることは考えにくいです。
違いが起きるヒントは、損失回避行動にあります。行動経済学でノーベル賞も受賞しているダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー』を参考に紐解いていきましょう。
この考え方には、パットを決め切るヒントが隠されていますよ。
本日参考にしている書籍『ファスト&スロー』はこちらの本です。
↓より詳しい内容が知りたい方がご一読ください↓
目次
プロスペクト理論を簡単に解説
「プロスペクト理論って?」「損失回避行動って?」の二つの疑問についてまずは解決しましょう。
行動経済学を初めて知った方のためにご説明します。
プロスペクト理論の特徴
- 同じ額(価値)であれば、利得の喜びよりも損失の悲しみのほうが大きい
- 利得局面ではリスク回避的となり、損失局面ではリスク愛好的となる
- 人は小さい確率をより過大評価し、大きい確率を過小評価する傾向がある
ほんとに?とあまりピンと来ていない方もいるかもしれませんが実際にこのようなことが起きているのです。
3つ目の「人は小さい確率をより過大評価し、大きい確率を過小評価する傾向がある」に関しては、日本人大好き宝くじを想像してみてください。当選確率が低いにも関わらず年末ジャンボなどでは長蛇の列ができます。
そして、その人たちは「買わないと当たらない」と言うのです。
2つ目の「利得局面ではリスク回避的となり、損失局面ではリスク愛好的となる」については、少しわかりにくいのでさらに解説をしていきます。下記選択肢があったときに皆さんはどちらを選びますか??
二つのうちどちらのくじを引きますか??
A、100%の確率で8,000円もらえます。
B、80%の確率で、10,000円もらえますが、20%の確率で0円になります。
多くの人は「A」を選ぶと言われています。
しかし、期待値は全く同じなので、どちらを引いても一緒なのです。
これは、先ほど挙げた3点の2点目、「利得局面ではリスク回避的」と言えます。
一方の「損失局面ではリスク愛好的となる」を考えてみましょう。
二つのうちどちらのくじを引きますか??
A、100%の確率で8,000円損します。
B、80%の確率で、10,000円損しますが、20%の確率で損失を回避できます。
この場合は「B」を選ぶ人が多いとされています。
これも、期待値は同じなのでどちらを選んでも変わらないのですが、行動心理としてはBを選択してしまう。
これと同様の心理状況がゴルフのパッティングにも現れるというのです。
パットにおけるプロスペクト理論
今回のテーマ、バーディパット入らず、パーパットは入るという現象がなぜ起きるのでしょうか。
結論から言うと、バーディパットはプロスペクト理論での「損失回避行動」に該当するからであるという研究結果があります。
本書によると
ペンシルベニア大学の経済学教授デビン・ポープとモーリス・シュバイツァーは、ゴルフのパーは参照点の完璧な例だと指摘している。
もう少し詳しくご説明します。
一打の重みの違い
またまた訳のわからないことを言い出して申し訳ないのですが、「バーディパットとパーパットでは一打の重みが違う」ことを理解しましょう。
まずは「重み」という部分を解説します。
統計学においては「重み」という概念は、データの各観測値に異なる重要性や影響を与えるために使われます。
重みとは、各データポイントに対して付与される数値で、そのデータポイントの重要性や影響力を示します。重みが大きいほど、そのデータポイントは分析においてより大きな影響を持ちます。
ゴルフにおいてバーディーパットとパーパットの重みが違うことをまず理解しましょう。
バーディーパットとパーパットでは同じ一打にも関わらず、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
それはゴルフには基準打数、つまりパーが設定されているからです。
パーいう基準打数から損するかどうか
パーで回るのは、飛び抜けて素晴らしくないはないが、堅実な良いパフォーマンスである。プロゴルファーにとってはパーが参照点であり、バーディは利得、ボギーは損失とります。
ゴルフをしているとみなさんには次のようなことが起きます。
A.ボギーパットを避けるためにパットを打つ
B.バーディをとるためにパットを打つ
同じ一打にも関わらず心理面が変わってきます。
Aの場合はパーパットを外すとボギーを打つことになります。なのでなんとしても損失を回避しなければなりません。
一方Bの場合はたとえ外れても、パーをとることができます。しかし、ボギーという損失を被るわけではありません。
選手はパーをとる(ボギーを避ける)ためのパッティングをバーディ狙いのパッティングより重視し集中して打つと考えた。そしてこの予測を確かめるために、250万回分のパッティングのデータを集めて分析した。
結果予測は正しいことがわかりました。パー狙いのパッティングはバーディーパット狙いよりも成功率が高かった。
成功率の差は3.6ポイントだっといいます。
アマチュアゴルファーに置き換えてみる
この理論はプロを対象にした研究で、アマチュアの人たちにバーディチャンスがあるかというとそうではありません。
ここまでの基準はあくまでプロの損失回避行動というお話になります。
では、アマチュアはどのように考えればいいのでしょうか。
アマチュアのよくある状況を想定して損失の規定を変えてみましょう。
✔︎人によって、規定打数を変える
✔︎ゴルフ場によっって、規定打数を変える
✔︎ホールによって規定打数を変える
の3つになります。
人によって規定打数を変える
ゴルフにはハンデキャップがあるように各々で実力に違いがあります。
ハンデが20の人と10の人とではマネジメントも変わってきます。
マネジメントをどのように変えるかというと、ホールによって自分自身の規定打数を決定するということです。
たとえば、440ヤードのパー4のホールがあった場合、飛距離に自信のない人ならこのホールはパー5と設定しようと基準打数を自分自身で切り替えることができます。
実際はパー4ですから、セルフの基準打数の5打で上がった場合はボギーとなります。
元々5打で上がる想定をしているので、ダメージは少なくなるのではないでしょうか。
ゴルフ場によって規定打数を変える
先日兵庫県のパインレークゴルフクラブに行ってきたのですが、とんでもなく難しいゴルフ場でした(プロは2アンダーで回ってましたけど)。
そんなゴルフ場にいくと全く違うスコアで出る時があります。
ですので、あらかじめゴルフ場においてのコースレートがあるので、規定打数(目標打数)を決めておくといいですね。
ちなみにパインレークゴルフクラブのコースレートはバックティー:74.3ですので、難易度高いですね。
ホールによって規定打数を変える
人によって規定打数を変えると違う点は、プレー中に何かトラブルが起きた場合を想定しています。
ティーショットで曲げてしまい、林に入って2打目は出すだけの場合ボギーを規定打数に頭を切り替えることで、ダメージが大幅に減ります。
そこからパーが取れれば、バーディ(利得)になりますが、損失回避の意味では即規定打数を変えるべきです。
以上3つをご紹介しましたが、いずれのメリットはメンタルコントロールができるということ。
損失回避という意味もありますが、集中力を維持するためにも有効です。
最後まで諦めずにプレーできる習慣が身に付けていきましょう。
技術も高めることができればもっといい
マネジメント、メンタルコントロールと合わせて、自宅で技術も鍛えましょう。
さらにカップインの確率が上がります。
本日参考にしている書籍『ファスト&スロー』はこちらの本です。
プロスペクト理論を全体をお知りになりたい方や行動経済学を学びたい人におすすめです。ご一読してみてください。
↓より詳しい内容が知りたい方がご一読ください↓
コメントを残す