行動経済学と言う言葉を聞いたことはありますか。
人は単純な損得勘定だけで行動しているのではなく、リスクを避けたり、現在の利益を過大評価してしまったりする傾向がある。一例ではありますが、そういった人間の行動に関する学問として広く研究されている分野です。
どういったものに応用するかというと株取引や、マーケティング、広告戦略などでも行動経済学の要素が多分に含まれています。
私たちの日頃の行動も行動経済学を駆使した戦略により、自然と誘導されている可能性もあります(良い意味も、悪い意味も含め)。
やめられないスマホゲームや、思わず無駄なモノを買ってしまった経験は誰にでもあります。もしかするとあなたの行動心理をうまく利用されている可能性もありますよ。
今回、行動経済学をゴルフに応用してプレーの質を向上できるのではないかと言うことで、経済学とゴルフというコラボレーションで考えていきます。
今回参考にした書籍はこちら
経済は感情で動く : はじめての行動経済学
マッテオ・モッテルリーニ:著
この記事を読んだら何がわかる?
✔️苦手ホールの対処法
✔️選択肢が多い場合の対処法
✔️判断として直感は悪いわけではない理由
では早速。
目次
行動経済学を簡単に説明
行動経済学を勉強していますと、必ず紹介されるのが「囚人のジレンマ」という考え方。
聞いたことがある方も多いと思いますが、せっかくなので、人間の行動パターンについて復習してみましょう。
囚人のジレンマ
囚人のジレンマは、2人の囚人が自己利益を追求することで最適な結果が得られない状況を指します。お互いに協力すれば最善の結果が得られるのに、互いに裏切り合うことが多くなってしまうゲーム理論の一つ。
あなたならどういう選択をするかを考えてみてください
あなたが選択できるのは2択。「自白する」か「黙秘する」か。
では、改めて状況を説明します。あなたがある事件を起こしてしまい、あなたと共犯者は捕まってしまいました。
そこで看守があなたに囁くのです。
「一方が自白し、もう一方が黙秘の場合、自白した方は不起訴・黙秘の方は懲役10年だ」
「2人共黙秘の場合は2人とも懲役2年だ」
「2人共自白した場合は2人とも懲役5年だ」
もちろんお互い相談できる環境ではありません。
さぁどうしますか??
どういう考え方なのかを解説しますと、2人の利益を最大化させるのはどちらも「黙秘」状態です。
しかし、相手が裏切るというリスクを回避するためには「自白する」のが合理的な選択となるのです。
さらに細かい説明になりますと、「パレート最適」「ナッシュ均衡」などがわかるとより理解が深まりますが、ここでは説明を省きます。
この場合、あなたのリスク回避のためには「自白する」という選択肢しかないということになります。
さて、そんな行動経済学ですが、行動パターンを考えてゴルフにも活用したいというのが、今回のテーマです。
ゴルフで応用できるよう一つのテーマを考えてみた
テーマ
「行動経済学的にラウンド中に冷静ではない状態で、客観的な判断をすることは可能か」
答え
以下のようにすれば可能です。
思考VS感情の図式では、感情が勝つとまず理解する。
その上で、対策として選択肢を減らし、危険を察知し、感情と理性を噛み合わせることで、冷静な客観的判断が可能となる。
そもそも、なぜ思考と感情は噛み合わないのか
1.選択肢が多すぎると結果感情が勝つため
人間は選択肢が多いと迷いますよね。そして迷うと選択肢を整理したくなり、そこに感情が入るためと言われています。
選択肢が多い時点で、感情で判断していることはありませんか。
それが多ければ多いほど判断に感情要素が入ってきます。
風、ライ、高低差、距離、を考えて、番手、球筋、イメージ、などゴルフは判断を求められるスポーツです。
それらを色々考えた挙句、最後には「もええわ!開き直ってフルスウィングや!」などと根拠のない判断をすることはありませんか。
選択肢を少なくするために、事前準備をしたり情報収集したりすることで、対処ができます。
2.グラフや数字に目がいくため
頭で理解しやすい数字に目がいくのは当然のこと。
プレゼン資料ではこれを逆手にとって、グラフや数字を利用することでオーディエンスからの理解を得ることができます。
プレゼン資料は文字が少ない方がみやすいですからね。
著者は数字やグラフはあくまで目安として理解することも大切であると言っています。
ハンデキャップ1のホールはその根拠はあるとしても、数字を見ることで自分自身そのホールの難易度を上げてしまっている可能性がありませんか。
それがなぜかプレッシャーに感じたりするものです。
飛距離の看板を見て、320ヤードだったらパーオンできそうだけど、430ヤードになった途端急に難しく感じてしまい、飛ばさなきゃとか勝手に考えることは誰にでもあります。
あくまで数字は数字です。数字は考えるときの参考になりますから、大いに参考にしましょう。
3.経験や先入観
過去の経験は脳に刷り込まれるので、特に失敗などをした場合その記憶は同じ環境に遭遇すると蘇ります。
以前OBを打ったホールに再び来るとそのイメージが蘇ることはありませんか。
頭ではこのように打ちたいと思っていても、なんか違和感があって気持ち悪い。その状態で打つと結果ミスになるということ。
悲しくなったり、怒ったり、喜んだり、人間の感情の変化は大きいです。
特にゴルフのようなミスのスポーツは、以前の失敗が色々なシチュエーションで頭に残るのでしょう。
何を意識すればいいのか
Ⅰ.直感的な本能的な反応は大切
まず直感的にどこに打つかを決めることをお勧めします。
目標があってそのポイントに到達するために何をすべきかを考える順番にしてみましょう。
環境面(風・雨・ライ)から判断すると何をしたいかが曖昧になります。
目的はこうだけど、風があるからこうしようと言う考え方の順番にしてみてはいかがでしょうか。
目的→状況の整理→対策
Ⅱ.理性は弱いと理解しよう
人間は感情が強くて、理性が弱いと著者は言います。なので、理性で感情を抑えることは難しい。
アンガーマネジメントをご存知でしょうか。怒りをコントロールするというものなのですが。
この考え方も、理性を鍛えるというよりは感情をコントロールすることにフォーカスしています。
メンタルトレーニングも主に感情をコントロールすることに重点を置いています。
Ⅲ.迷ったら二択にする。
先述しましたが選択肢が多いと感情が勝ってしまうという罠を避けるためにも、最終2択にまで選択肢を絞ることが大切。
感情や情緒と決定内容を噛み合わないと合理的行動にならないと言います。
感情が勝つ前にやりたいことを直感的に決めてしまって、そこから具体的な対策を練るのが合理的ではないかと考えています。
逃げるか、闘うか
攻めるのか、刻むのか
オーバーに打つのか、距離を合わせるのか
迷ったら2択まで選択肢を減らしてみよう。
本日ご紹介した「経済は感情で動く」興味がある方はぜひ手に取ってみてください。
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