以前記事で、上達するためには上手な人と一緒にラウンドすると良いという趣旨の記事を公開しました(下記リンク参照ください)。
それはなぜかということについて、「Social Learning Theori(社会学習理論)」を用いて解説していきます。
今回記事を書くにあたってこちらの論文を参考にさせていただきました。
さて、ゴルフにおいて、イメージが良い・悪いという表現をすることがあります。
イメージが良いとは、目的と行動が一致し、予定通りのベネフィットが得られる状態です。
例えば、目的が”フェアウェイ右サイドにボールを運ぶ”として、そのためには風などの影響も考えて”どのようにボールが飛んでいくか”という弾道のイメージをします。
その上で、その弾道を実現できるように”どのような動きをするか”という動きのイメージを持つわけです。
プロのレベルになると、パー3で1人目がピン付近に打てば、残りのプレーヤーも大体その付近に行きます。
今回は、そういうショットのイメージではなく、無意識に上級者やプロの行動を真似たりすることで、自分もそのレベルに少しでも近づくのではないかということです。
ということで、Albert Bandura’s Social learning Theoryを一緒に学んでいきましょう。
もちろんゴルフだけではなく、普段の生活やビジネスにおいても同様のことが言えるので、参考にしていただければ嬉しいです。
学習プロセスを理解することで、一過性ではなく継続的なスキルとして身につくヒントになります。
目次
論文の概要
✔️観察学習
人間は他者の行動、態度、感情的反応を観察し、模倣するとされ、社会学習理論では、環境要因と認知要因の両方がどのように相互作用して、人間の学習や行動に影響を与えているかを考察しています。
実際赤ん坊は周りの、人間を観察して真似るところから始めているといえばわかりやすいですね。
そして、それは大人になっても同様で、観察学習をしていると言います。私たちは他者を観察することで学習し行動を採用します。
確かに一緒にいる人の口調が似てきたり、思考も似てきたりしますが、それも観察学習の一種なのかもしれません。
私たちは知らず知らずのうちに周りの他者から影響を与えられていると同時に影響を与えていると考えると自戒の念は忘れてはいけないなと思ってしまいました。
✔️観察学習の影響
Albert Banduraさんの論文によると、いくつかの要因により行動が模倣される可能性が高まると述べられています。
例えば、「報酬のある行動」では、誰かが報酬を与えられている姿を見るとその行動を模倣します。あることをして、子供が褒められたら周りの子供も同じことをする様子は想像するに易しです。
あとは、専門家や地位のある人が行なっている行動がそれを模倣しがちであったりします。
他にも項目はありますが、ゴルフという同一のゲームをしている中で、上級者やプロと一緒にプレーすることで、無意識(意識的にも)に観察学習をしている可能性は非常に高いと言えます。
上級者やプロのようにプレーをしたいと思えば、より行動が模倣されます。
この記事の結論になってしまいますが、上級者やプロと一緒にプレーすることで、無意識の観察学習をしていると私は考えています。
そして、実際にプレーが良くなったり、スコアが良くなったりもします。ただ少し時間が経過すると、夢から覚めたみたいに元に戻ることも経験ありませんか。
なので、なぜ良くなったのかを自分なりに分析した方がより効果が継続します。
上級者やプロとラウンドするときは、観察学習するものだと思い、どういう行動から影響を受けたのか、何を真似ようとしてのかをアウトプットするのが良いかもしれませんね。
そして、その理由は観察学習のプロセスを理解すると納得できます。
さらにそのプロセスを理解することで、吸収した経験や行動をより活かすことができます。
観察学習のプロセス
では、その観察学習のプロセスについて掘り下げていきます。
観察学習にはプロセスがあり、ある行動を模倣するかを決定する際に次のような思考プロセスが発動します。
後ほど示す図を文字起こししたものです。図を見ていただく方がわかりやすいです。
Attention(注意)
🔽
Retention(記憶にとどめる)
🔽
Motor Reproduction(再現の可能性)
🔽
Motivation(動機)
Attention(注意)
日頃みなさんは色々なものや人を観察しながら道を歩いたり、車に乗ったり、電車に乗ったりしているはずです。
しかし、その観察しているはずの行動についてはほとんど何も覚えていないことでしょう。
そんな注意を引き、印象に残り影響を与える出来事はほぼないということです。
いちいち色々な行動に影響されていたら、混乱しますので、脳がほとんど受け流すようになっているのでしょう。
日常のその他大勢の行動など気にならなくとも、ゴルフにおいての上級者やプロであればどうでしょう。
尊敬する先輩と営業に行った時どうでしょう。
おそらく観察モードになっていることでしょう。
それは模倣するチャンスに他なりません。
Retention(記憶にとどめる)
次に注意を払っていたとしても、常にそれら全てが記憶されているわけではありません。
のちのち観察したことが実行できるように記憶に残しておかなければなりません。
社会学習は一度その行動をすれば完了するわけではなく、その後の行動にも影響します。
その時に正しく模倣できるよう記憶することがとても大切です。
営業同行を一度したからといって、身につくわけではありませんし、ゴルフにしても再現性がとても大切です。
先ほど述べた上級者と回ったときは良かったのに、後日また元に戻ったというのはこういうことなのでしょう。記憶が薄れていくのでしょう。
大切なことは意識的に記録・記憶を保持することでその模倣した行動が身につくのです。
Motor Reproduction(再現の可能性)
上級者やプロの動きを模倣し記憶し、実行するとなった時に、できることと、絶対にできない動きがあります。
各々の身体能力には限界があり、したくてもできないことも多々あります。
その能力やスキルが望ましいことだとしても、物理的に不可能と判断した場合は真似をすることはありません。
例えば、前傾をキープしたいと言って、「ホアキン・ニーマン」や私の大好きな「トミー・フリートウッド」のような動きはできないのです。
できないことにチャレンジする姿勢は評価できますが、不可能と判断する客観性も必要ということです。
Motivation(動機)
行動に伴う報酬と罰でそれらを模倣するかを最終判断します。
単純にそれを真似することによる報酬が、必要なコストを上回る場合は行動に移すと言えます。
ただし、ゴルフの場合一時的に具合が悪くなったとしても、長期目線でベネフィットがある場合は、その行動を模倣するべきだと考えます。
スポーツの場合変化を与えることで一時的に不調になるのは良くあること。
期間を決めそれでも上昇の見込みがない場合は、元に戻す決断をすれば良いだけです。
長期間で得た報酬は、短期間で得た報酬と比べて比較にならなほどメリットがあると信じて継続すると私は決めています。
真似るというよりも無意識の影響
以上社会学習のプロセスを解説しましたが、ゴルフに行ったり、先輩の営業に同行したりするときは無意識というよりも意識的に学ぼうとする姿勢になるので、学習プロセスとしても違うことは否定しません。
本来社会学習というのは意識的というよりも、無意識に模倣するかどうかの判断を下しているというプロセスに他なりません。
しかも、学習がどのように起こるかを理解するためにプロセスを紹介しましたが、人間の行動には無数の環境設定があり、個人においての報酬も違うことにおいて、予想が非常に難しいといえます。
しかし、模倣する・真似るという観点から考えるとこのプロセスが間違っているとも思いません。
まずは、注意深く上級者やプロを観察し、そういったことをしていたかを頭で整理します。
そして、自分にできる動きに落とし込み実行することで、ベニフィットが生まれます。
良いものは取り入れるという柔軟性はいつまでも持っておきたいですね。
コメントを残す