今回は、ダニエル・ゴールマン著の『EQ(心の知能指数)』についてご紹介します。
この本は投資にもゴルフにも仕事にも役立つ感情のコントロールについて学べる本で、非常に勉強になりましたので皆さんのお役立ていただけると嬉しいです。
EQとは、Emotional Intelligence で感情をメタ認知できたり、コントロールできる能力を指します。
今更、そんな古い本(1996年発売)を紹介されても・・・。とは全く感じませんでした。
理由として、人間の突発的な感情は、原始の時代から生きるために必要なものであることが多く、その感情は現代の人間にも引き継がれており、感情の歴史から見たら十分新しい知識となり得るからです。
逆に原始の時代には必要ではあっても、現代においては必要のあまりない反応(全くないとも言えない)もあり無意識にその感情を引き出してしまうことが多いのです。
仕事やゴルフや投資で、命の危険に晒されることはあまりないでしょうから、EQを向上させうまく感情をコントロールができるようになれば、あらゆる分野での成長につながる可能性があります。
本日、ご紹介した本はこちらです。興味を持たれた方は是非お手にとって見てください。
目次
EQとIQの関係
では、なぜEQをコントロールするとあらゆる分野での成長が期待できるのでしょうか。
EQは心の知能指数とされていますが、知能指数の指標として、IQ(Intelligence Quotient)という言葉を聞いたことはありませんか。
天才と言われているアインシュタインはIQ160以上だったとか。
IQは知能指数を測る指標になっているものですが、EQは「心の」知能指数なので、少し違う気がしますね。
本書では、双方の関係として、全く違うものというよりは相互に関係していると紹介されています。
では、頭がいいと感情もコントロールできるのか?というとそうでもないようです。
ただ、感情をうまくコントロールできる子供はその後の学ぶ姿勢や、環境面で学習能力が高くなる可能性が高いことを本書では紹介しています。
EQとIQの力関係
普段私たちの二つの状態は、「感じる知性(EQ)」と「考える知性(IQ)」のバランスが取れており、双方に良い影響を与える関係となります。
もう少し関係について掘り下げると、
✔️「感じる知性(EQ)」は「考える知性(IQ)」に情報をインプットし動作を指示しています。
✔️「考える知性(IQ)」は「感じる知性(EQ)」のアウトプットをよく検討し時には拒絶します。
というように感じる知性は、考える知性に良くも悪くもなんらかの影響を与え続け、その良し悪しを考える知性が判断し、行動に起こしているという構造になります。
みなさんは、突然怒り出したりしないと思いますが、その怒りたいけど我慢するという感情は、考える知性が感じる知性を制御している状態です。
しかしながら、とあるきっかけで感じる知性(EQ)のパワーが強くなれば、考える知性(IQ)は無力と化します。
EQは生死に関わる大切な能力
先ほどEQとIQは双方のバランスを取り合っていると言っていたのに、EQが強くなると無力となるのはなぜなのでしょうか。
それは冒頭ご説明したように、古代より人間の本能に刷り込まれた反応をしてしまうからです。その反応とはどういったものでしょうか。
例えば、猛獣が目の前に突如現れたらみなさんどうしますか?
戦いますか?逃げますか?死んだふりしますか?
古代においてはこういったことが実際に起こり得ますが、考えている暇はありません(死んじゃいますからね)。
感情の知性が”やばい!”と判断した場合に即座に”逃げる”という行動につながるようになっています。
一方、家族が突如獣に襲われた場合も同じ”やばい!”という感情になった場合は、瞬間的に”助ける=戦う”という行動に出ます。
この一瞬の判断こそが「感じる知性(EQ)」の能力にほかなりません。
つまり何もない平常時にはバランスがとられていますが、そのバランスが崩れる感情の変化があった時には命の危険性が伴うことがあるため、本能的に感情が勝ってしまうことが刷り込まれています。
なぜゴルフにも投資にもEQが大切なのか
現代において、突然猛獣が現れたりすることはほぼありませんし、命の危険に晒されながら生活している人はほとんどいないでしょう。
まして、ゴルフや投資で命の危機にさらされることはほとんど考えにくいです。
にも関わらず感情の変化はなぜ起きてしまうのでしょうか。
実際、この突発的な感情の変化が必要のないケースが多いにも関わらず、行動を起こしてしまうことで、失敗するということはよく耳にします。
アンガーマネージメントという言葉を聞いたことはありませんか。
怒りという感情をコントロールする術のことを指しますが、EQが高い人はアンガーマネージメントができていると言えます。
危険回避が少ない時代であるからこそ、EQを高めることは大切であると著者は言います。
そして、自己の才能を活かすにはこのEQを上げることは非常に大切であると触れています。
ゴルフや投資、仕事においてEQを上げることは、あなたの才能を活かされることになり、目標達成や成功に多いに役立つのです。
では、このEQが高い人はどのような特徴があるのでしょうか。
EQが高い人の4つの特徴
✔︎感情がコントロールされている
✔︎快楽を我慢できる
✔︎気分を上手く整える
✔︎感情の乱れに思考力が阻害されていない
感情がコントロールされている
投資であれば、ルールが守れていますか?(狼狽売りなどしていませんか?)
ゴルフであれば、ミスによる感情の変化は起きていませんか?
これは、上記でもご紹介したように、突発的な出来事に対して、過剰な反応をしないことになります。
喧嘩した際に振り返ってみると、なんであんな些細なことで怒ったのかわからないことはありませんか。
ゴルフの場合、自分がミスをしてイライラした時に、なぜか同伴者の行動や言葉にも反応して余計にイライラしたりしませんか。
投資なら、チャートの上下にドキドキしていませんか。
上向きになれば、得意になり放漫な気持ちになる一方、下向きなら絶望的な感情になるものです。
EQ力が高い人は、●●ショックで資産が半分になっても、感情のコントロールが可能です。
EQを高めることは、必要以上の喜怒哀楽が予期せぬ行動を引き起こさないようにコントロールすることにつながります。
快楽を我慢できる
ゴルフでは早く打ちたくて、うずうずしていませんか?前の組や同伴者が遅くてイライラしていませんか?
待ちチョロ(待ちすぎてチョロを打つ様)なんて言いますが、あまり前のめり過ぎも良くないということです。
投資においては、早々と利確する状態でしょうか。目標の株価になるまでじっくり待つことができますか?
本書では、マシュマロテストが紹介されています。
母親が、出かける際に
「私が帰ってくる前に、マシュマロを食べてもいけど、食べなければもう一つマシュマロをあげるわよ。」
と伝えて、我慢できるかをみたものです。
我慢できた子供とそうでない子供を追跡調査した際、我慢できた子供は、将来的にストレスに強く困難な状態でも適切に対応できる能力が身についていたとされています。
つまりマシュマロを食べたいという感情のコントロールをし、欲しいものを我慢できる人とそうでない人とでは、EQに差が出たと言うことです。
そういう意味では、●●依存というのもEQと関係してるかもしれませんね。
気分を上手く整える
3つ目は感情を整える能力です。
怒った時みなさんは、どのように怒りを沈めますか?
ゴルフなら、大事な場面でミスをしてしまった状態
投資なら、自分が売った後に株価が爆上げした状態
イライラしますよね?そういったことがある場合にみなさんはどう感じてどのようにして溜飲を下げますか?
深呼吸する?
叫ぶ?
トイレに篭る?
対処法はいろいろあるかもしれませんが、本書では環境を変えて一人になることを方法の一つとして紹介しています。
怒った瞬間に海に行くことなんて不可能ですが、実際その場(環境)から一回離れることで、冷静になれることはありますね。
他には、私個人的には、呼吸法をマスターして、心拍数を整えることが大切だと感じています。
感情の乱れに思考力が阻害されていない
短期投資でキチンと分析もせずに、売ったり買ったりして後で後悔したことはありませんか。
イライラした状態でショートパット「お先に」を外し、もっとイライラしたことはありませんか。
まさに熱くなっている状態と言えます。
冷静さに欠ける状態といえば、想像に難くありません。
私的には、怒った瞬間に「なぜ自分は怒ってるんだろ?」と考えられるようになるのが理想です。
怒りによる、判断ミスはみなさんもご経験がおありではないでしょうか。
怒りながらも、妙に落ち着いている状態を自分の意識で作っていけると良いですね。
EQが高い人の4つの状態まとめ
EQの高める3つの方法
不安は知性を阻害します。
一方、「快の気分」「笑い」「明るい気」でいることで、知覚が拡張的、積極的な方向に働くようになると言います。
具体的にどういった気持ちがそうさせてくれるのでしょうか。
□ 希望の力
□ 楽観主義
□ 自己効力感
というキーワドーで解説していきます。
希望の力
本書では希望とは、”目標が何であろうと、目標達成に必要な意志と手段が自分には備わっていると信じること”であると定義しています。
「やる気と実力があるからできる」
と信じること。
私も、できる人とできない人の違いは、こういった考え方に基づいている気がします。
具体的な方法としては、
困難に対し、
◉やがて好転すると元気付ける
◉代替え案を出す
◉目標の変更など柔軟に対応する
◉大きい目標を小さい目標に分割する
といった方法が記されています。
楽観主義
楽観主義の定義として、最後はうまくいくと期待を維持できる能力としていますが、それだけだと根拠のないお馬鹿さんになりかねません。
そうではなくて、最終的にはうまく行くということは途中で失敗しても良いと思えるかどうかです。
そして、失敗を変更可能な要素であると受けとめます。
そうすることで、新しいチャレンジができ、それを繰り返すことで結果が出ると信じることです。
自己効力感
自己効力感とは、自分は自分の人生をコントロールできているという自信、状態を言います。
フロー状態に持っていくのが、EQ最高次の発現と本書では紹介されており、自己効力感を高めることがフロー状態となる第一歩としています。
スポーツ(ゴルフ)でもフロー状態というのは度々耳にします。
ゾーンに入っているといった表現をされることもあります。
フローに関しては、書籍「フローゴルフへの道: 世界最高のメンタルコーチが明かすトッププロの秘密」がおすすめです。
自己効力感を上げるための方法としては、
①目の前の課題に意識的に注意を集中する
②自分の得意分野で少し高めの目標に挑戦する
といった紹介がなされています。
まとめ
そもそもこの本を読むきっかけになったのが、ロバートキヨサキ氏の「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」の”「感情 < 理性」であれ”という文脈から本書の紹介があったのが理由です。
つまり、投資にはEQが大切であると明言されています。
感情のコントロール、EQ向上ははあらゆる才能を活かす要因となると改めてお伝えしておきます。
EQが高い人の特徴
✔︎感情がコントロールされている
✔︎快楽を我慢できる
✔︎気分を上手く整える
✔︎感情の乱れに思考力が阻害されていない
EQを高める大切なこと
□ 希望の力
□ 楽観主義
□ 自己効力感
元々、子供の教育方法に主眼を置いて書かれた本なのかと思いましたが、それだけではありませんでした。(後半は教育に重きを置いた内容になっています。)
投資で成功したい人、ゴルフが上手くなりたい人、仕事で成功したい人もメンタルはとても大切です。そのメンタル力を鍛えるEQという概念は学ぶに値します。
下記から本書を手に取ってみてください。
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