スポーツ心理学と聞いてみなさんピンときますか。
私の拙い認識だと、スポーツの駆け引きに必要な考えとか、競技において結果を出すために必要な考えとか、非常に抽象的な理解でしかありませんでした。
今回、参考書籍のタイトルにもあります「心」と「動き」に大きく関係するメンタルトレーニングについて本書を参考に解説してまいります。
本記事を読んでいただいて、以下の課題解決をしよう。そして、本書を読むことでさらに理解が深まります。
✔️モチベーションをあげたい
✔️パフォーマンスをあげたい
✔️イメージの出し方を知りたい
✔️適切な目標を立てたい
✔️成果の出る目標を立てたい
そして今回参考にするのは、山田憲政さんが書かれた「スポーツ心理学 最高のパフォーマンスを発揮する「心」と「動き」の科学」です。
本書は娯楽的な意味での本ではなく、ガチガチの教科書になっています。
著者紹介を見ると、現在中京大学スポーツ科学部教授とありますので、山田先生の授業で使用されている教科書なのでしょうか。
中京大学のホームページ内、教員紹介のページで山田先生の紹介見れます。
冗談はさておき、早速解説していきます。
この記事は、本書の一部分をピックアップしているということもありますが、本書は全体としての流れ、前後の理解も必要な内容になっていますので、詳細はぜひ本書を購入いただき熟読いただければと思います。
目次
ハイパフォーマーになろう
先日「緊張すると深呼吸するのはなぜか」という記事を書かせていただきました。
呼吸はパフォーマンスに大きく関わります。
結論としては、呼吸を学ぶことでストレスをコントロールすることができ、ハイパフォーマーになれます。
そのメカニズムについて、簡単に解説します。
ヤーキーズ・ドットソンの法則
聞き馴染みのない法則ですが、アスリートが実践するメンタルトレーニングの基礎を築いたとされている研究です。
マウスの実験で学習速度が早くなるのは、高程度と中程度の刺激を与えた時で、中程度の刺激が最も学習速度が速いことが明らかになりました。
わかりやすくいうと、刺激がなさすぎたらやる気が起きない、刺激が強すぎたら成長はするが速度は速くないという結果になりました。
一番成長するのは中程度の刺激で、マウスにとって一番モチベーションが高い状態であったということ。
上記の図を解説すると、横軸の左側が刺激が低いもの、高程度刺激で、真ん中が中程度の刺激を示しており、中程度の刺激のパフォーマンスが高いということ示しています。
覚醒水準とパフォーマンスの関係は、いわゆる逆U字のグラフになることが示されたというのが、ヤーキーズ・ドットソンの法則です。
パフォーマンスには覚醒水準が大きく影響する
その実験が人間を対象としても、不安やストレスとパフォーマンスの関係が逆U字で示されることが確認されています。
つまり、マウス同様人間も、覚醒水準が高すぎても、低すぎても高いパフォーマンスが発揮できないということです。
そもそも、覚醒水準とは何かを説明していませんでした。不安やストレス、プレッシャーがそれに該当します。
それをコントロールをするのが前回説明した「深呼吸」と深く関わります。
覚醒水準のコントロール
今一度言いますが、深呼吸の記事も是非お読みください。
呼吸をコントロールすることによってこの覚醒水準を適切なところに持っていくこと。これこそがメンタルトレーニングの基本であり、冒頭申し上げた「ヤーキズ・ドットソンの法則」がメンタルトレーニングの基礎と言われる所以ではないでしょうか。
覚醒水準が高すぎる時には、リラクセーション。
低すぎる時にはサイキングアップをして、適正な覚醒水準をキープすることで、ハイパフォーマンスが維持できるのです。
呼吸はめちゃくちゃ大事です。
パフォーマンスに繋がるイメージをしよう
スポーツにおいては、大きく分けて自分自身が運動を行なっているような一人称イメージと、外部あるいは他者などの第三者の視点から自己の動きを見ているような三人称イメージに区別されると本書では解説しています。
この図のように視点が異なると生じるイメージも異なってきます。
行動者の視点からは一人称のイメージがしっくりきます。
一方横や前からの映像は三人称イメージを誘発しやすいと言います。
ゴルフの場合はどうでしょうか。
ゴルフには1人称目線が重要
ルーティンとして、ボールの後方から飛球線をイメージしますが、その時に一人称的目線で、スウィングをイメージと飛球線のイメージをすれば良いと考えます。
動き(スウィング)のイメージと弾道のイメージを強く持って再現する。
というルーティンを繰り返し練習するようにすればイメージと、実際の動きとのギャップを埋める練習ができます。
では、どのように練習すれば良いでしょうか。
PETTLEPモデル
このモデルは、スポーツにおけるイメージトレーニングに運動イメージを適切に用いることを意図して脳科学の成果をもとに運動イメージトレーニングをモデル化したもの。
P(Psysical):実際の運動時の状態と一致させる(服装など)
E(Environment):実行する場所を同じにする、また類似させる
T(Task):実際の動きと同一の動きをする
T(Timing):競技時間を合わせる
L(Learning):その時の学習段階をイメージに反映させる
E(Emotion):ストレスなど感情的な状況も反映させる
P(Perspective):一人称視点か、三人称視点か
このモデルに基づいた運動イメージトレーニングでは、シュミレーションで試合をイメージすることがイメージトレーニングであり、それを繰り返すことで実際の試合でもこのシュミレーション能力を有効活用するというもの。
よりイメージしやすいようにシュミレーションゴルフが活用できれば、打ちっぱなしでただボールを打つ練習よりも、上達するスピードが変わってくる可能性があります。
私の考え的には、技術を取得するための練習と、イメージ通り適切に体を動かす練習の2種類あると考えています。まさに一人称イメージです。
このPETTLEPモデルの考え方は後者にあたります。
皆さんにとって、イメージの仕方とその活用方法においてヒントになりましたか。
結果の出せる目標設定をする
最後に目標設定について解説します。
目標設定がうまくいくと、行動に有効に働きます。しかし、目標を適切に設定するためには、修正と改善を繰り返しながら自分に合った目標を作る方法を身につける必要がある。
つまり、目標設定は心理的スキルであると本書では述べられています。
ただ単に人参をぶら下げるだけで行動変容が起きるとは思いませんが、様々な工夫は必要かもしれません。
目標の大切さについて掘り下げていきましょう。
ポイントはG+F
まず、目標設定は他社ではなく自分自身で決定して行動することが大切とされ、そのように自己動機づけがされることで、現在のパフォーマンスと目標の「差」が動機づけを高める「情報」になるとしています。
バンデューラという研究者は、それを概念図で示しています。
何を示しているかというと、「目標を設定した人」と「目標を設定しなかった人」と「自分のパフォーマンスをフィードバックして目標を再設定した人」のパフォーマンスの差を表しています。
結果は「自分のパフォーマンスをフィードバックして目標を再設定した人」が最もパフォーマンスが上がったという結果を示しています。
目標の立て方
目標の立て方については、ご承知の方も多いかと思いますが「SMART」を原則にすると良いと言います。
繰り返しますが、「自分自身のパフォーマンスをフィードバック」できる方がいいからです。
言い換えると、「SMART」で目標を立てるとフィードバックしやすいと言えます。
✔️Specific 具体的であること
✔️Measurable 測定可能であること
✔️Action-oriented 行動指向であること
✔️Realistic 現実的であること
✔️Timely 合理的な時間であること
本書は冒頭申し上げましたように、マジの教科書ですからここでご紹介できたのは、ほんの一部にすぎません。
メンタルトレーニングに興味があるかたはもちろん、競技者で最近成績が伸び悩んでいたり、もっと上を目指したいアスリートにもおすすめです。
久しぶりに時間をかけて本を読みました。間違いない1冊です。
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